ファンシーでメルヘン!そして何より夢いっぱいな電車たち
皆さんは、和歌山電鐵 貴志川線というローカル線をご存知でしょうか。毎年、年間5億という赤字を抱え、廃線寸前だったこの路線は地元の人や「日本一心豊かなローカル線になりたい!」をモットーにする企業努力もあって、今や日本各地はもちろん、世界中から人が集まる魅力的なローカル線なんです。ファンシーでメルヘン、そして何より夢がある電車にこの夏は乗りたい!ということで記事にまとめました。
1【いちご電車】まずは、可愛いすぎる“いちご”から。
2006年8月6日、和歌山電鐵貴志川線に貴志駅周辺の特産品であるイチゴをモチーフにした、ホワイトのボディーに赤いドアやロゴマークがアクセントのお洒落な「いちご電車」が登場しました。両備グループのデザイン顧問、水戸岡鋭治氏がデザインを担当。内装にも真っ赤に熟したいちごがたっぷりと使われています!
年間5億の赤字を抱え、2005年に一度は廃止が決定していたローカル路線の復活劇がここから始まります。
2【たま電車】たま駅長との運命の出会い。世界初の耳付き電車が走る!
出典:http://news.mynavi.jp/photo/news/2015/06/28/013/images/001l.jpg
年棒7万円で11億の経済効果を生んでくれたスーパー招き猫『たま駅長』
きっかけは、駅に隣接する売店で飼われていた“たま”の小屋が役所から撤去を命じられたことから。困った売店の店主が、和歌山電鐵の小嶋社長(両備グループ代表兼CEO)に、駅舎に"たま"を住まわせてくれるよう直談判したそう。
そして、頼まれるがまま "たま"と初対面した小嶋社長は、その瞬間"たま"の駅長姿が目に浮かび、そして9ヵ月後、"たま"は民間鉄道初の猫駅長に就任されたという流れ。
その後は皆さんも一度は耳にしたであろう、大人気ぶりで、観光客を呼びに呼びよせてくれたんですね。
出典:http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/train/
ちなみに私の知り合いのカメラマンさんが一度取材撮影に行った際、そのスーパーアイドル駅長ぶりを語っていました。普段はのんびり、ダラーっとしててもレンズを向けると必ずポーズをとってくれるそうで(?)。スーパーモデルさながらのポージング、「魅せ方」を知っている駅長さんだったそうです。
初代は大明神、今は二代目相性「ニタマ」駅長さんががんばるたま電
写真は左が2015年に急逝し、その功績の大きさから社葬には多くの人が涙の別れを惜しんだ一代目たま駅長さん、右がたまの死後、貴志駅の駅長代行を務めあげ「四十九日」の喪が明けてから「たま二世駅長」に就任した二代目の駅長さんです。ちなみに似たたま、「似たま」から、ニタマ駅長さんと呼ばれているそうです。
出典:http://jp-isan.com/photo/kisiekiekisha.html
たま駅長は、神様になってお客さんを見守っています
そして今現在は初代駅長さんがたま大明神として祀られ、お客さんを見守る中、二代目の駅長さんが奮闘中の模様。駅舎内には、待合室を兼ねた「たまカフェ」と 「たまショップ」があり、地元和歌山の果物を使ったジュースやジェラート、スイーツなどが 味わえるほか、人気の「たまグッズ」も購入可能だそう。
3【おもちゃ電車】子どもの夢、大人の夢もいっぱいつまった夢の電車
出典:http://www.uraken.net/rail/chiho/wakayama/2270a.html
貴志川線の挑戦は続きます。
和歌山電鐵の営業マンが広告営業に回っていた際、「ラッピングではありふれている、お金をかけてでも何か夢のあるものを作ってはどうか」とのデザイナーの提案を受け、外観だけでなく、電車の内装もすべて、おもちゃで埋めつくした夢のある電車を作ろう、とできた電車がこの「おもちゃ電車」、略して「OMODEN(おもでん)」。
出典:http://www.backpackers.com.tw/forum/gallery/index.php?n=96956
おもちゃ箱や子供部屋をモチーフとしたようなデザインの天然木を使用した内装。大人も夢中になりそうなプラモデルやフィギュアのショーケース、がちゃがちゃもいっぱいあります。ベビーベッドももちろん備えられています。子どもが笑顔になる電車が今日も夢を乗せて走ります!
出典:http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/nagomi/web/nagomi03/travel/index.html
4そして、この夏!見るからにすっぱーい【うめ星電車】も出発進行!
出典:http://news.jorudan.co.jp/docs/news/detail.cgi?newsid=JD1465081871131
2016年6月4日から運行開始した「うめ星電車」は、あのななつ星を手がけたデザイナー担当!
和歌山電鉄貴志川線の新しいデザイン電車「うめ星電車」が4日、運行を始めた。県特産の梅をモチーフにした深紅の車体を一目見ようと、大勢のファンが集結。「たまⅡ世駅長」の三毛猫ニタマも登場し、門出を祝った。
うめ星電車のデザインは、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星」を手がけたデザイナーの水戸岡鋭治さんが担当。一風変わった名前は、小嶋光信社長が悩んだ末、「九州が『ななつ星』なら、和歌山は『うめ星』(梅干し)だ!」と発案した。
運行に先立ち行われた内覧会では、県内外から訪れた人たちが、床や窓枠、天井まで木を使った高級感あふれる和風の内装をじっくりと見学した。滋賀県野洲市から訪れた高校生、柿田哲志さん(18)は「これだけ凝った電車が普通運賃で乗れるなんてすごい。一度乗ればまた来たいと思うはず」と話していた。
2016年6月5日配信、朝日新聞デジタルより
このうめ星電車のデザインを手がけたのは、JR九州の豪華寝台特急「ななつ星」を手がけた水戸岡鋭治さん。この“うめ星”という名前も和歌山紀州名産の梅干はもちろん、JR九州が運営するななつ星のパロディにもなっています。
外観は梅干をイメージした赤、内装には障子、木製すだれ、天井にも木材をふんだんに使用した贅沢なつくり。なので乗り心地よく、いい塩梅に仕上がっているそうですよ!しかも、ななつ星とちがって、こちらは普通運賃だけで乗れるということでなんともお得な電車です。
出典:http://news.jorudan.co.jp/docs/news/detail.cgi?newsid=JD1465081871131
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●運賃表はこちら
http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/fare/
※お得な一日乗車券もあるそうです!
●時刻表詳細はこちら↓↓
http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/timetable_list/
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最後に>
貴志川線は、巨額の赤字を理由に廃止案を提示した南海電鉄から2006年に岡山電気軌道が再建を引き受け、「知ってもらう、乗ってもらう、住んでもらう」を戦略に地元市民や社員らが一丸となって取り組んだ上に、たま駅長さんの奮闘もあって大赤字路線から一転、注目の鉄道になりました。アイデアもさることながら、地元の方が使うローカル線ならではの地元愛も感じますよね。
電車って、単なる移動手段ではなく、「乗ること自体に楽しさ」がある乗り物だと私は思うのです。
ビューンっ、と一気に目的地に着くのもいいですが、たまにはローカルな路線に乗って、風景を楽しみながら「ここにしかない」電車の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。