毎年、だいたいうっとおしい梅雨の時期になると、我が家ではこんな会話が繰り広げられます。「そろそろちゃう?」「うん、モリアオガエルの卵みたいなあ・・・」
我が家は夏になると今では毎年恒例行事のように神戸市灘区と北区の境にある六甲山系の連山のひとつ、摩耶山にモリアオガエルのおたまじゃくしを見に行くんです。無性に会いたくなるんです!
1、ケーブルカーに乗ってまずは上へ、上へ。
摩耶山の山上と山麓を結ぶまやビューライン。ケーブルカーとロープウェーを乗り継ぎます。まずは、大正14年に開業した摩耶ケーブル。ここから山上へ向かいます。傾斜角度がはんぱない、ケーブルカーに乗れる時点ですでに子どもはいつもテンションあがり気味。こけると転がり落ちそうで、いつもこちらはハラハラするものの、走らずにはいられない様子。
市街地がどんどん遠くなり、森に覆われた自然がどんどん迫ってきます。窓からは涼しい風&小さな昆虫たちもご挨拶しにきたり。スキーのジャンプ台の傾斜角度ほどある勾配をぐんぐん登ります。
2、「虹の駅」に到着。ここからロープウェーで空中散歩。
大正14年開業当初の姿をとどめる「虹の駅」はちょっとレトロでかわいらしい雰囲気。夏にはあじさいでいっぱいです。
虹の駅では、ゴンドラの“おりひめ”と“ひこぼし”、がお待ちかね。車内の上はよく見ると蛍光塗料で星が光るようになってます。ちなみに、摩耶ケーブルは平成27年で開業90周年、摩耶ロープウェーは開業60年という歴史があります。こんな山上に乗り物を作った人って・・・すごいっ!
一気にかけあがるロープウェーの眼下には、もこもこ木で覆われたうっそうとした森、遠くには神戸の港や船、大阪の街や水平線まで一望できます。お天気がいい日なら紀伊半島まで見渡せるそうで、かなりの見晴らしのよさ。まさに空中散歩、してる気分が味わえます。
ケーブルカーを降りると、日本三大夜景にも選ばれたまやビューライン 掬星台という場所に到着です。
3、摩耶自然観察園にあるあじさい池へ
足下に気を付けながら、山道を少し下ります。
この時期はあじさいがいっぱい咲いています。飛び出た枝が道をとおせんぼするほど、花屋や軒先で咲いているよりもはるかにワイルド系のあじさいたちです。
そんな、あじさいに埋まった道を抜けると到着するのが、ここあじさい池。
ちなみに摩耶山の摩耶は、お釈迦様のおかあさんの名前に由来しています。山上に弘法大師(空海)さまが釈迦の生母・摩耶夫人(まやぶにん)像を安置したお寺もあります。
そんな母なる山だけあって多くの野鳥をはじめ、昆虫や植物など多彩な生き物がいて、見飽きることなく自然観察ができるスポットなんです!
私たちが今まで観察しただけでも、このあたりには、
・ミズスマシ
・モリアオガエル
・イトトンボ
・マツモムシ
・イモリ
・ヒメアマガエル・・?らしき5ミリに満たない小さなカエルまで、珍しい生き物までいっぱい。
マツモムシは私も知りませんでしたが、息子がこれ!といって指差したのはかなりおかしな泳ぎ方をする小さな虫でした。ちなみに、刺されると痛いそうです(息子談)
そして連日の雨で流されたのかモリアオガエルの卵はほとんど形として残っていませんでした。やっと見つけたのはこちらの卵塊です。中央に泡っぽいのが見えるの分かりますか・・・?
たぶん、普通に歩いているだけでは見つかりません(笑)。かがんで見つけた卵です。普通は身長よりも高い位置にある枝先なんかに産み付けられていますが、雨に流されなかったのがこの日はここだけだったみたいです。
翅を閉じて止まる、細い細いイトトンボ
街中では見かけることのないイトトンボの仲間です。きれいな水辺でしか生きられないので、近年数が減りつつあるそうです。私がとっさに撮影したので分かりにくいですが、羽根を閉じてとまっているのがおもしろいです。
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/68/Damselfly_October_2007_Osaka_Japan.jpg
夕焼け小焼けの赤とんぼ、止まっているよ竿の先、という歌詞にもあるように、枝先つかみ型と呼ばれる先っちょにとまるトンボや、翅を開いてぶら下がるタイプのめっぽう早くて大きいオニヤンマ、こんな風に翅を閉じてとまるイトトンボなど、とまり姿にもいろんな「型」があるので、また皆さんも、どこかでひと休みしているトンボをみたら観察してみてくださいね。
池の中にいっぱい!モリアオガエルのおたまじゃくし
皆さんは、モリアオガエルってご存知ですか。この時期、あじさい池にいるおたまじゃくしのほとんどがこのモリアオガエルの卵から孵った子どもたちです。池を埋め尽くすほどいっぱい泳いでます。
木の枝に卵を産み付けて、ぽとぽと孵ったおたまじゃくしが枝から落っこちて池の中に落ちる映像を昔みたことがあったのですが、実際のモリアオガエルの綿菓子みたいな卵が枝にぶら下がっているのをみたのは、私自身、この池で初めてでした。
モリアオガエル 学名:Rhacophorus arboreus
アオガエルを代表する種で、名前の通り森に住むカエル。兵庫県では、淡路島を除く全域で見ることができます。特に、日本海側で森が多く冷涼な場所に多いようです。産卵は、集団で泡状の卵を池に突き出ている枝先に産むという独特の繁殖を行いますが、繁殖前に必ず一度池にドボンと飛び込んでから木に登って産卵を開始します。これは、卵塊を作るときに大量の水分が必要なため、池に飛び込んで水を摂取し、それを産卵時に尿として排泄するのではないかと言われています。余談ですが、ほとんどのカエルは、仰向けに寝かせお腹をなでると静かになるが、アオガエルの仲間はおとなしくならず、なぜか、すぐに起きあがろうとします。ぜひ試してみてください。
出典:兵庫県立 人と自然の博物館より
http://www.hitohaku.jp/material/l-material/frog/zukan/moriao.html出典:http://www.hitohaku.jp/material/l-material/frog/zukan/moriao.html
森を覆うように咲くあじさいの中、
清流のせせらぎを聞きながら、足下に注意しつつ森の中を歩きます。途中、珍しい虫や生き物をみたら、すぐさま「なんか、おるー!」と呼び掛けては他メンバーを招集し、じっくり観察します。ほぼ立ち止まってばかりです。
森の中を見渡しながら歩いていると、蛇に出くわしたり、食べられそうにない?おいしそうな?きのこなんかもたくさん生えてます。
4、赤ちゃんを洗っていたほどの澄んだ聖なる水、産湯の井
摩耶山の澄んだ森の中に、不思議な場所があります。ここだけ、ちょっと体感温度が下がるというか凛とした空気。ここに立つだけでなんというか、とても神秘的な「ありがたい」感じといいますか。それがここ産湯の井、という場所です。
奥の梵字石は大日如来をあらわす梵字で鎌倉時代(約700年前)のものとされています。そんな遥か昔から、人々はこんな山奥までえっちらおっちら登って水を汲み、生まれたばかりの赤ちゃんをこの聖なる水で洗ってあげたんですね。
お母さんの身体から出てきて初めて触れる水、それが母なる山を流れるこの産湯の井の水だったわけです。気持ちよさそうです。
むかしむかし、お釈迦様がお生まれになったとき、八大竜王が摩耶山に湧き出る
水を口に含んでインドに飛び、雨を降らせました。その水をお釈迦 様の産湯に
しました。それから麓の村では赤ちゃんが産まれると、この水をくんで産湯に使
いました。
産湯の井の中をよくよく観察すると、小さな小さなカエルがいました。聖なる水は、今でこそ産湯で使われることもないかもしれませんが、カエルの赤ちゃんを育てているようです。
最後に>
ちなみに、ここは生き物観察だけでなく日本三大夜景として有名な夜景スポットでもあります。
ちなみに日本三大夜景は函館・神戸・長崎ですが、神戸は六甲山系のここ「摩耶山 掬星台」なんですね。いわゆる1000万ドルの夜景というやつです。見晴らしのいい展望からは神戸の港から大阪の街まで一望できます。
掬星台という名は先人が満天の星空があまりにも美しく、手を伸ばせば星が掬(すく)えるようだと言ったところからきているそうで、遮るものは何もないほど大パノラマの風景が広がっています。なのでカエルは苦手という方、ロマンチックな夜景がみたい!という方には、そんな楽しみ方も。(むしろこっちがメインかも?笑)
私はもっぱら夜景よりカエルさん派なので、夜には行ったことはないですが、実際夕方に帰りのロープウェーに乗ると、すれ違い様のロープウェーに人がたくさん乗ってらっしゃったりします。
ケーブルカーやロープウェーで山へ登るだけあって、夏は街中よりひんやりとして何より緑の風も気持ちいいですし、ぜひ、今年の夏は、山の上で生き物観察や散策を楽しんでみてください。
出典:http://www.mainstreet-mag.com/kikuseidai.html
データ ==================
■料金
・ケーブル線【摩耶ケーブル駅〜虹の駅】
片道 440円(220円)、往復 770円(390円)
・ロープウェー【虹の駅〜星の駅】
片道 440円(220円)、往復 770円(390円)
●全区間【摩耶ケーブル駅〜虹の駅〜星の駅】
片道 880円(440円)、往復 1540円(770円)
※( )内は小人運賃、尚、小人は6歳以上12歳未満
※時刻表や営業時間、カレンダーなどの詳細はこちら
http://koberope.jp/maya/price
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