2024年12月7日から15日にかけて開催された「チェンマイデザインウィーク」は、今年で10回目となるチェンマイでは外せないビッグフェスティバル!そのプラットフォームとして開催されたイベント「Treasure Discovered 2024」では、様々な分野のクリエイティブ・プロフェッショナル、デザイナー、職人、アーティスト、起業家が、現代のライフスタイルに合わせた革新的なデザインやプロジェクトを発表。また今回はなんと日本のアーティストも招待され、デザインの可能性を探究する機会にもなりました。他にも、デザイン展示、トークショー、ワークショップ、アート活動など多様なクリエイティブイベントが盛りだくさん。そのホットなシーンを一挙ご紹介します♪
創造性、テクノロジー、持続可能性を通じて地域の価値を高める
大規模なフェスティバルがいよいよスタート!
オープニングセレモニーでは、招待されたゲストの方々が舞台に立ってご挨拶。主催者であるトップ チャントラクル氏は「このイベントは国際的に注目されるアジアの存在感をより急速に拡大し、アートの世界でも世界市場での優位な地位を確立するために開催されました。また、若い世代のアーティストに展示の場を与えることで、彼らがより成長することが望まれています。その想いをカタチにするために白壁の空間ではなく、カジュアルに展示自体を楽しめる小屋を展示場所に選定しました。参加したアーティストたちが自身の家に招くようなイメージで、気軽に訪れた人を招いて欲しいです。」と熱いメッセージを伝えました。
また舞台は色とりどりの装飾が施され、チェンマイの文化や芸術への敬意が表れているようでした。いよいよアート、デザイン、音楽、手工芸品などによる、クリエイターたちのshowが始まります。クリエイティブな体験を間近で見ていきましょう!
地元文化や伝統技術を感じられる作品が並ぶアートコミュニティ
【ローン・ヒムカーオ・ビレッジ】
「Treasure Discovered 2024」では、チェンマイ市内各地でクリエイティブな空間を展開。この「ローン・ヒムカーオ・ビレッジ」でも様々な作品が展示されています。普段はクラフトやアート、自然を大切にしている人たちが集まるコミュニティの場ですが、イベント中は「Scaling Local」という主要テーマの元、創造性、テクノロジー、持続可能性を通じて地域の価値を高めることを目的とした作品で賑わっています。
明るい色彩や自然をテーマにした模様が特徴的な布たちは、現代アートと地域特有の伝統技術を融合させた作品です。“This place feels like home”というメッセージから、温かみを感じさせるデザインが魅力的。それぞれのストーリーが感じられ見ているだけでも楽しい空間です。
自然や地域をテーマにしたイラストがプリントされたTシャツたち。それぞれの絵柄は、地元の風景や文化を描いたもので、カラフルかつ細やかなデザインが目を引きます。これらは地元のアーティストによる作品で、チェンマイやその周辺地域の魅力を伝える想いに溢れています。
地元の職人が製作した竹細工などの伝統的な手芸工芸品の販売も行われていました。日本と同様に、実用性と美しさを兼ね備えた作品がズラリと並びます。製作風景を目の前で見ることができるのも嬉しい限り。普段、日用品として使えるものばかりでおみやげにもピッタリ!
「ローン・ヒムカーオ・ビレッジ」では地元の食文化を気軽に味わえる露店もありました。自然やコミュニティとのつながりを大切にし、訪問者に地域文化を感じてもらいたいという想いが伝わってきます!
アンティークと現代アートが織りなす時空の旅
【デ・サイアム・アンティークス・チェンマイ】
「Treasure Discovered 2024」の主要会場となる「デ・サイアム・アンティークス・チェンマイ」。東南アジア最大級のアンティーク倉庫で、普段は世界各国のハンドメイドによるアンティーク家具や建築物が10,000点以上もコレクションとして保管されています。今回のイベントでは貴重なアンティーク品を背景にした現代アートの調和を楽しむプログラムが開催されました。
第3回目となる今回のイベントでは「時の美を掘り起こす」をコンセプトに、過去と現在をつなぐたくさんのアートが紹介されました。著名な現代アーティストによる唯一無二の作品は圧巻!時代を超えた価値を持つアートたちが歴史と現代の創造性を結びつけることで、生活に新たな意味と喜びをもたらしているのだと言われています。
創造が紡ぐ文化の架け橋、唯一無二の体験
ここでは専門の版画家の指導のもと、様々な素材や技法を使ってシルクスクリーン版画を体験するワークショップが開催されました。日本からの新進気鋭のアーティストたち5名も参加し、アイデアや創造性を持ち寄りセッション。各アーティストが「De Siam」をテーマにデザインを考えてバッグを制作しました。
この体験は芸術的表現、文化的探求、技術革新を融合させたユニークなものとなり、かけがえのない体験となったようです。
今回ワークショップは、タイと日本のアーティスト同士がアイデアを交換し、友情とクリエイティブ性を深める場となりました。アーティストたちの感想はこちら。
宮間さん「チェンマイに生息する植物の生命力を強く感じる場面がいくつもあり、ここで見た風景や感じたことが今後の制作にも大きく影響すると思います。とても良い刺激をいただけたと思います。」
葉さん「昔と今が交わるように存在している点は、私がいたジョグジャカルタにも似ていると感じました。ワークショップを通して現地のクリエイターと交流できたのも刺激になりました。」
ともろうさん「バンコクを東京とするならチェンマイは私が住む福岡のように感じます。伝統的な建物や文化を残しながら現在のスタイリッシュさも内包しているところがそう感じたのかもしれません。」
村上さん「いつか体験したいと思っていたシルクスクリーンの技術をワークショップを通じて丁寧にレクチャーしてくれた皆さまにも感謝します。チェンマイにいる子どもたちとの交流も心に残る瞬間の一つです。」
青柳さん「私は歴史あるモノを残しながら今を取り入れている場所が好きなんですが、チェンマイはまさにそういう町だと感じました。また、町の至る所で日本にはない配色がたくさん見られたのもとても勉強になりました。」
未来へつなぐ、チェンマイの隠れた宝物たちを探して
「Treasure Discovered 2024」主催者トムさんの想い
「Treasure Discovered 2024」の主催者であるトムさん。このイベントにはチェンマイや地域社会に根付いた文化や自然、隠れた才能を再発見し、それを未来へつなげてほしいという想いが込められていたそうです。トムさんはチェンマイやタイにはまだ知られていない多くの宝物、すなわち伝統工芸、自然資源、人々の生活や文化があると考えています。単なる観光資源として見るだけでなく、地元の人々とともに価値を見直し、世界に発信していきたいとのことです。
またトムさんは地域社会やクリエイターたちと手を取り合い、未来を担う若い世代にその魅力や価値を伝えたいと思っています。特に、伝統と現代デザインの融合に注目し、次世代が誇りを持って受け継げるような仕組みを作ることが彼の願いです。
さらにチェンマイの魅力を国内外に発信することで、国際的な交流を深めたいという願いも持っています。このイベントを通じて、世界中の人々がチェンマイに集まり、新しいアイデアやコラボレーションが生まれることを期待しています。このようにトムさんの想いの根底には、「チェンマイをただの観光地ではなく、文化とクリエイティブの拠点として世界に認めさせたい」という強いビジョンがあります。地元の人々自身が自分たちの文化や才能を「宝物」として再認識する素敵な機会となりました。
シルクスクリーン版画の奥深さを体感できる
【ジョジョ・コービー・アート・ギャラリー】
2013年にチェンマイで設立され、異なるバックグラウンドを持つ5人の共同創設者によって始まった「ジョジョ・コービー・アート・ギャラリー」。このギャラリーは版画制作、展示、販売に焦点を当て、タイ国内外のアーティストの協力で形成されています。誰でも気軽に版画制作とアートについて学び、意見を交換できるオープンスペースになっています。
ギャラリー内は、モダンなデザインと伝統的なチェンマイ文化が調和する空間で、展示作品の魅力を最大限引き出す工夫がされていました。天井が高く開放的なスペースには、絵画、彫刻、インスタレーションアート、映像作品など多様なジャンルの作品が展示されています。特に地域の工芸技術を現代的なアートに昇華させた作品が来場者の心を引きつけているようでした。
ギャラリーではワークショップも行われ、日本のアーティストたちがシルクスクリーン技法の全工程を体験、デザイン制作。鮮やかな色彩表現、細かいディティールの再現、手作りならではの質感、層ごとの独特な美しさなど、シルクスクリーン版画の魅力に触れることができました。
アーティストの交流で広がるクリエイティブの可能性と地域の絆
ここではアーティスト同士で交流を深めることができたのも、大きな収穫となりました。アーティストたちが自身のビジョンやインスピレーションを磨く場となるほか、アート制作における文化的背景や、現代アートが地域社会に与える影響などを学ぶ様子が見られ、アートを通じた距離の近さが印象的でした。
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いかがでしたか?「Treasure Discovered 2024」ではアーティストたちにとって地元文化の再発見と国際的な視点の融合が、クリエイティブなアイデアを生むきっかけとなり、一方来場者たちはアートを介して、チェンマイやその周辺地域が持つ多様な価値に改めて気づく機会となりました。このようなイベントが開催されることで、チェンマイのアートシーンはさらに発展していきそうですね!
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